恋人という存在と迎える正月。それぞれの幸せのかたち。 






【Desire】      







祈願をすませ、佐伯は横にいる男を見上げた。去年から半同棲状態にあるこの男は、まだ何やら熱心に祈っていた。 

「(何だよ。まだなのかよ。)」

佐伯は溜め息をついた。志波の心を読み取ることは難しい。ましてや願い事など分かるはずもない。
しかしそう分かっていても、ここまで熱心に願う姿を見ると寂しさを感じずにはいられなかった。


「な、なぁ。さっき何を願ってたんだ?あんな熱心にさ。」

佐伯はコーヒーの入ったマグカップを二つテーブルに置いた。
志波の部屋には佐伯のために数種類のコーヒー豆が常備されている。
志波はいつものように笑って、さあなとだけ答えコーヒーに口をつけた。



「そう言うと思った。」



ベッドに腰掛け佐伯は呟いた。その姿はさながら、耳をたれて拗ねる寂しがりやのウサギだ。志波は自嘲の笑いをもらした。


「知りたいか?」


顔を上げた佐伯は志波の真摯な眼差しにとらわれた。
「本当に知りたいか?知っても後悔しないか?」

佐伯は頷いた。

それを確認すると志波はそっと佐伯の耳元に唇を寄せ、囁いた。
その途端佐伯の顔は真っ赤に染めあがった。





「…叶えてくれるんだろ?」





低声が全身を刺激する。

甘いシビレが束縛する。

動けない。ウサギはオオカミに喰われるのが常。それが捕食の原理。志波が肩を押すと佐伯の体はベッドに沈んだ。



「ちょっ…!まっ…!」


「…待てない。」






そして口付けから始まった。






かたちは違っていても、二人の願いは同じ。

変わらぬ幸せ。





愛する人と…永遠に。










・・・・・written   by  霖雨・・・・・