2. BL視線で見るキャラ設定

ここでは志波と瑛というキャラの設定から見えてくる志波瑛というカップリングがいかにして成立するかを、BL理論を含めつつ述べていこうと思っています。 まずは志波、瑛の設定を整理したいと思います。

@)佐伯 瑛
・    羽ヶ崎学園のプリンスである
・    性格は表向き紳士的であるが、裏の顔もある陰のある人物像
・    身長は3年間で178・179・180と変動
・    スポーツ万能、成績優秀
・    祖父の喫茶店で働いている

A)志波 勝己
・    野球部くずれ(好感度が上がらなければ謎のまま無愛想な男として終る)
・    口数は少なく、社交的とはいいがたい
・    身長は三年間187cmから変動なし
・    スポーツ万能、成績不振(補習組)
・    野球部入部イベントが起こればスポーツマンとして描かれるが、そうでない場合は筋肉馬鹿のまま恋愛へと突入する。

まずは簡単にまとめてみました。ここから少し詳しく見ていきたいと思います。ではまず数値でわかりやすく比べることのできる身長の問題、そして性格も絡め て見ていきましょう。

日本人男子高校生の平均身長は平成17年度文部科学省学校保健統計調査で高1/168.4cm 高2/170.0cm 高3/170.8cmであると発表 されています。調査結果と比較すると志波瑛両者ともに平均身長を上回っており、瑛は最高10cm、志波においては最高で19cmと20cm近くも上回りま す。



両者共に女子たちの夢である『背の高いイケメン』を叶えていることは頷けますが、注目すべき点は身長差です。

 まず瑛においても平均身長を上回るほどの高身長の持ち主ですが、それに比べても志波はさらに上を行きます。この二人の身長差は9〜7cmと年により年々 瑛がつめていっていますが、おそらくこれ以上縮まることはそうないでしょう。
 
 ここで各キャラクターの性格を絡めてみましょう。志波においては何に対しても(野球・恋愛以外)それほど熱くなるタイプではありませんが、瑛はおそらく 幼い頃から、そして今にも見られる『負けず嫌い』タイプです。頭脳明晰ですがその実力は朝学校に早めに来て予習をするなどと、「天才」ではなく「努力家」 です。そこに惹かれる乙女たちも多いでしょう。生まれ持った容姿でもてはやされることが多かったであろう瑛、そして努力してその体面を保つという性格か ら、『負けず嫌い』という性質が培われていったのではないかと考えられます。

 そしてそこで志波との身長差に辿り着きます。毎年少しづつ身長が伸びるとはいえ志波の身長に追いつくことはなかなかできません。BL的目線において、 「相手に勝ちたい、あの人に勝りたい」という憧れの対象、そしてライバルから生まれる恋愛パターンは非常に多いです。
有名どころとして商業誌で言えば『純情ロマンチカ』(中村春菊/角川書店)内の作品である『純情エゴイスト』などが例に挙げられます。この作品では受け は、若くして大学準教授となるが、攻め(年下)は医師を目指しながらなかなかうまくいかない、というものであり、「早くあの人に追いつきたい」という感情 が描かれます。二次創作においては現在人気のある『REBORN』(天野明/集英社)の山本・獄寺、『ONE PIECE』(尾田栄一郎)のゾロ・サンジ などのライバル関係カップリングが見られます。ゾロサンなどはとても萌えますね。ちなみにゾロの声優さんは中井和哉氏であり、志波と同じ方です。

話しが逸れました。

 BLによくあるこの『負けず嫌い』を使ったカップリングは、男同士、同性という設定の下だからこそ繁栄したと言えるでしょう。そしてその設定は瑛にも しっかりとあるのです。
なんでもできるようにがんばってきた瑛、身長だってそれなりに高い、けれど志波に勝つことはできません。また、スポーツもできるという瑛ですが、中学の頃 はリレーの選手に毎年選ばれたりと活躍したようですが、高校にあがってからはそれもなく、筋肉馬鹿たちに抜かれていったようです。「陸上部の筋肉バカにで もやらしときゃいいんだよ」のような発言もあり、少し不満げです。志波は好感度が上がり、入部イベントがないと野球部での活躍は見られませんが、どちらの ルートであったとしても進路は一流体育大学と決定しています。これを見れば、野球だけでなく身体能力が高いことはわかります。体育祭でも頼まれて走ってい たりと周囲も認める実力の持ち主です。

 そんな志波と瑛が出会ったとき、瑛はどう思うのか、という点です。高身長、スポーツマンな志波。生まれ持った容姿と努力家精神で今そこにいる瑛。しかし それを超える志波の存在に負けず嫌いの瑛は思うところはあるのではないでしょうか。加えて、志波が頭の弱い子ということもまた拍車をかけそうです。自分よ り勉強はできないくせに自分にはない素質を持ち、高身長で威圧感までも持つ志波。憧れとも、不満ともつかない感情のジレンマが瑛に生まれたとき、そこに BLの真髄があるのではないかと思われます。



〜コラム・バリスタと野球帽〜

 さて、瑛は祖父の営む喫茶店で未来の一流バリスタを夢見てアルバイトをしているわけですが、このときユニフォームを身に着けています。キャラクターの服 装、コスプレというものはプレーヤーや読者を惹きつけるポイントですね。大抵の二次創作においてコスプレ、それに基づくパラレル作品が書かれています。さ すがC●NAMI、抑えるところを抑えているといえます。
 対して志波です。野球部に入部するとそのユニフォーム姿を目にすることができます。その上うまく部活動と付き合えば学園のジャージではなく、志波がト レーニングに使っていると思われるジャージ(良)姿さえも完備しているという!さすが!C○NAM!!

白熱してしまいました。

 この、日常着ではない「ユニフォーム」をキャラクターに着せるという点が重要となります。ユニフォーム=制服というのはその人物がどの団体、グループや 学校に属しているのかということを明白にする働きを持ちます。バリスタ瑛は喫茶『珊瑚礁』の店員であること、そして志波は『羽ヶ崎学園野球部』の一員であ ることを表します。学園では同じ制服を着ることで同じコミュニティに属しているがその一方、全く別のコミュニティにお互いそれぞれ属しているのです。同と ころにありながらまた違ったところにもそれぞれの役割、働きがあることを表すユニフォーム。このモチーフを生かさない手はないでしょう。


参考資料
・    文部科学省学校保健統計調査(平成17年度)
・    『純情ロマンチカ』 中村春菊著 角川書店
・    『家庭教師ヒットマンREBORN!』 天野明著 集英社
・    『ONE PIECE』 尾田栄一郎 集英社
・    手のひらBOOKシリーズ ときめきメモリアルGirl’s side 2nd kiss
   〜celebrate encounter〜 T.佐伯瑛編 メディアワークス発行
・    手のひらBOOKシリーズ ときめきメモリアルGirl’s side 2nd kiss
   〜celebrate encounter〜 U.志波勝己編 メディアワークス発行


平成20年11月22日
澄ララ